「くまもと・歴史文学館」での文章勉強会に参加していますが、
福島のある女性による、そんな感動的な詩を紹介していただきました。
選び抜かれた言葉、赤裸々な体験、私達熊本の様子に思いを馳せる優しさががジーンと伝わって来ます。
この素晴らしい詩を紹介させていただきます。
願い あんざい のりこ
パッキングが緩んだ蛇口みたいに
きりなく涙がポタポタ
腕の中で息子の息が止まったとき
どこかで壊れてしまった私に
まいにちが追い討ちをかける
犬のようにつながれた幼児
衣装ケースにとじこめられ死んだ子供
そして今熊本の
崩壊した橋の下に押しつぶされた青年に
ますます緩むパッキングから
涙ばかりが途方にくれる
不条理がひとの現世だと諦められる
線はどこから引けばいい
デジャブーのようにひろがる
体育館や駐車場に横たわるひとびとは
この前の私たち
地震なのか眩暈なのか
わからなくなるほど揺れていた
他人が食べてるカップ麺を
うらやましげに見てた孫達が見える
終わったかのように忘れられるフクシマ
取り替えのきかないパッキングから
おちる放射能まみれの涙は
わたしたちだけでいい
どうぞ 原発を止めて下さい はやく
泣いて泣いて泣いても立ち上がれる
諦めの線を引ける境目はきっとそこ
諦めの線を引ける境目はきっとそこ