2010年6月11日金曜日

興味深いお話(10)~娘の本籍は熊本城~

8月に帰国するミゲルに変わって、パレスチナ出身のヤセル氏を新講師として採用することにしました。
ヤセル氏は熊本大学院の博士課程で、自然エネルギーを研究しています。
英語もアクセントがほとんどなく、豊富な知識と温和な性格で、特に大人の生徒達にお勧めの先生と
感じています。
そのヤセル氏との色々な会話の中に、「エーッ!」と目を丸くしてしまった事がありました。
それを御紹介させていただきます。
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ヤセル氏) 私は2005年に日本の国費留学生として来日しましたが、その当時は日本政府は、
       パレスチナを国として認めていなかったんです。
       それで、無国籍人として日本に入国しました。

私) えー!国籍が無いということですか?  それでよく入国ができましたね。

ヤセル氏) 留学関係の書類がたくさんありましたので、それで許可していただきました。

私) では、奥さんはどうだったんですか?

ヤセル氏) 妻は2年後の2007年に、2人の子供を連れて日本に来ましたが、
       やはり「無国籍」で日本に入ってきました。 審査が厳しくて大変でした。

私) そうでしょうねー、でも国籍が無いなんて信じられませんよね。いまでもそうなんですか?

ヤセル氏) それが、妻が来て5ヵ月後に政府がパレスチナを国として認めたんです。
        なので、今は一人を除いて家族全員がパレスチナ人ですよ。

私) 一人を除いて?  どう言う事でしょうか?

ヤセル氏) 3人目の子供(娘)が、妻が日本に来てから、パレスチナが国として認められてない時に
       生まれたんです。 親が二人とも国籍が無い場合、日本で生まれた子供は日本国籍になる 
       んです!
       それで、娘は日本人となったんです! これには私も驚きました。

私) そうなんですか! 国籍が無い親の子は日本国籍になるんですね!! 

ヤセル氏) そうです。 また、市役所に出生届を出しに入った時に、こう言われたんです。
       「親の国籍がありませんので、本籍は市役所か熊本城か、どちらかを選んでいただく事に
       なります」

  「え?」と思いましたが、仕方ありません。妻と相談して、市役所より熊本城が素敵ですので、
   熊本城を選びました。  だから、娘は熊本城で生まれたことになります。(笑)

私) えー、そうなんですか! 本籍が熊本城なんて、お姫様みたいですね!(笑

ヤセル氏) 私も、妻も、子供達も、今はパレスチナ国籍になりましたけど、政情不安ですから、
       娘は日本国籍になって本当に良かったと思ってます。
       私達もできたらまた、日本国籍に戻りたいとさえ思ってます。

私) 本当にびっくりしたお話でした。 貴重なお話、ありがとうございました。

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ヤセルさんには、もうすぐ4人目の子供さんが生まれるそうです。国籍はもちろんパレスチナだそうです。

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