2010年12月13日月曜日

興味深いお話(No.18)~コーヒールンバの持つ悲哀~

なかなか進まないスペイン語学習ですが、このところ「歌」を題材にして勉強しています。指導してくださるのはペルー出身のデニスさんです。
先日はとてもポピュラーな「コーヒールンバ」を取り上げて学習しましたが、
意外な裏話を聞くことができましたので、ここに御紹介いたします。

私)この「コーヒールンバ」は、日本でも随分昔から様々な歌手が歌って来てる、とてもポピュラーな曲なんですよ。でも、原語の歌詞とは全然違う内容になっています。

デニス)そうなんですか?日本でもこの曲が人気があるなんて知りませんでした。で、どんな内容になってるんですか?

私)昔、アラブの偉いお坊さんが、失恋した若者に琥珀色したコーヒーを勧めて、元気を出しなさいと言った、そんな内容です。

デニス)え!何でアラブのお坊さんが出て来るんですか?この歌はそんな恋の歌ではなくて、黒人奴隷の悲しい労働歌なんですよ。

私)そうですか。私も労働歌だとは知ってましたが、黒人奴隷の歌だとは知りませんでした。

デニス)この歌を理解するには、スペインの南米植民地支配の歴史を知る必要があると思います。
1492年のコロンブスの新大陸発見以降、いわゆる大航海時代が始まって、スペインは南米の殆どと北米の広範囲な地域を植民地支配するようになり、そこで大規模なプランテーション農業を展開しました。

私)そうですね。スペインはブラジルを除く南米全域と北米のかなりの地域を
  植民地にしてますね。

デニス)そうです。それで、プランテーションの労働力としてアフリカから多くの黒人を買ってきて、奴隷として使ってたんです。他に中国人も奴隷として使われてた様ですが、黒人が圧倒的に多かったようです。

私)そうなんですか。その当時はヨーロッパでは既に奴隷を使う事が普及してたそうですから、南米植民地でも多く使われたことでしょう。でも、中国人もいたとは知りませんでした。

デニス)黒人奴隷は家畜と同じ様に、毎日朝から晩までコーヒープランテーション農場で働かせられました。歌詞の最初の部分にはそれが感じられます。

私) この部分ですね。

   日が暮れて 夜の闇が広がる
   静けさの中 コーヒー農園で再び響く
   古いコーヒー挽きの愛の歌
   無気力な夜を嘆くように
   
デニス)重労働の後にやっと訪れた休息の夜、あたり一面のコーヒーの木が風に吹かれてが微かな音を立てている、それが黒人奴隷には泣いているように響いたのでしょう。その情景が良く感じ取れます。

私) 次の部分には、
    
     ひとつの愛の物語
     ひとつの悲しみ
     黒人奴隷マヌエルは涙を流す
     辛い人生に
     そして一晩中コーヒーを挽く

  とあります。一晩中仕事をさせられたのでしょうか?

デニス)いいえ、そんなことしたら奴隷は死んでしまいますので、夜は休ませてたと思います。これは詩ですから、他の何かを象徴してるんです。
これは、「重労働から解放されたい、コーヒーを挽く臼を投げて壊してしまいたい」、そんな気持ちを代弁していると言われています。
何度も繰り返されてる事が一段と悲しみを深めていますね。

私) 本当ですね、隠されたメッセージを汲み取って読んでみると、深い悲しみがジーンと伝わってきます。  でも、メロディ自体はとっても陽気ですよね。
とても悲しい曲のようには聞こえませんね。

デニス)そうですね。 たくさんの黒人奴隷が南米に連れられて来て、
彼等の文化がラテンとミックスされたんですが、この歌は特にアフリカのリズムを色濃く残していると思います。

私)そうですね。私もアフリカに行った事があって、アフリカ人と一緒にドラムを叩いて楽しんだ事があったんですが、本当に陽気な力強いリズムでした。
このコーヒールンバには、そのアフリカのリズムも確かに感じられますね。

悲哀を帯びた詩に、陽気なリズム。 ますますこの歌が気に入りました。


【終わり】

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