2015年5月2日土曜日

花嫁衣裳

        
            花嫁衣裳              

古い(けやき)箪笥の引き出しを開けると
私は一気に明治時代に引き込まれる

そこにはおよそ百二十年を過ぎた
古い花嫁衣裳が眠っているのだ

細かい鶴亀の刺繍が散りばめられた
白無垢の振袖と打掛が
それから
真っ赤な長襦袢が燃えてえいる
ひっそりと眠っている

今ではしみじみと変色してしまった白無垢を
想像力というツールで
元の純白に戻してみる
そして
ふんわりそれを長襦袢の上に重ねてみる

すると聞えてくる
華燭の宴の賑わいが

酒を酌み交わす男達の
声高な笑い声が

十代の花嫁の表情が見えてくる
恥じらいと期待と不安の交錯する
まだ十代の幼き花嫁の表情が

早く嫁いで子を成す
その時代の女の王道を
歩く自分に何の疑いも
なかったことだろうか

横に座る
羽織袴の若者に

視線を投げかけながら