2026年10月7日水曜日

ひとり語り~No.5

        「八雲は熊本が嫌いではなかった」


町のセンターで発表会が催されることになり、英語クラスでは「小泉八雲」を題材にした
寸劇をすることになった。
寸劇のシナリオを書くにあたり、エッセイ等の作品に数多く触れることとなった。
読み進めていくうちに、八雲は熊本を題材にした作品を何と30あまり書いているのが分かり、
少々驚いてしまった。

「停車場にて」「夏の日の夢」「石仏」「極東の未来」などなど、洗練された題名が並ぶ。
特に「橋の上で」は安巳橋の上から見た白川や熊本市の景色を、まるで一幅の絵のように描いてあるが、その美しさは際立っている。

その作品には西南戦争中のある日に目撃した、橋の上で繰り広げられる三人の薩摩兵による政府士官の斬首、それを恐怖におののきながら目撃する車夫の姿が見事に表現されている。
無言のうちに粛々と行われる殺害は、まるで無声映画のように静と動が幾重にも重なりながら読者に迫る。そして結末は、人間の「徳」に及んで結ばれている。

そのような素晴らしい数々の作品を残してくれた小泉八雲だが、今でも多くの日本人には怪談作家と思われているのは本当に残念である。 
3月まで放送されたNHKドラマ「ばけばけ」を見て、そう思っている人の数は減っただろうか。

せめて熊本に住む私達は、「小泉八雲は熊本が嫌いではなかった」、「熊本を舞台にした数々の名作を残してくれた」、ということは知っておいたほうが良さそうだ。



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